シンポジウム第1回 公共建築物の吹き付けアスベスト

Symposium 2004 : 1 The Case of Nagoya

シンポジウム:名古屋の取り組み

司会: この動きは名古屋にも広がっています。次に、この動きを名古屋の繁野氏にお話いただきます。

繁野: 名古屋労災職業病研究会の繁野です。池袋にやってきまして、どうしてこんなに人がいるのか、どこから湧いて出てくるのかと思いました。この会場にもたくさんの人がおいでになっていますね。

 名古屋はまだ第一歩を踏み出したばかりです。資料に公共施設におけるアスベスト使用状況についてのアンケートがありますが、それを2004年5月に愛知県知事と名古屋市長に送付いたしました。それぞれ1ヵ月後に回答が来ました。愛知県の回答は管轄ごとに分かれています。初めに愛知県営住宅ですが、昭和62〜63年ごろにアスベスト調査を行い、結果も保存されていますが、結果は送付してくれませんでした。どういうことか電話で問い合わせると、『アスベストは付帯施設や住居専用部分にありました、改修については不明ですが残っているのは汚水処理施設だけだと思う。』とお役所的な回答がありました。このような回答からは、役所内の担当が替わってしまい残りの資料から推測して答えていることが言えます。

 次に、教育委員会・県立学校以外の施設ですが、『13施設を昭和62年頃に調査しました。1施設は調査済みと思われるが不明であり、この1ヶ月に調査しました。』ということです。私たち名古屋労災職業病研究会がアスベストのアンケートを出した後、慌てて調査して、アスベストはありませんでしたと答えたのです。県立学校については昭和62年頃に72校を調べています。それ以降、平成2年に26校調べています。なぜ26校を選んだのかを聞きましたが、『それは必要性があったからでしょう。』とだけ言われました。今後は、愛知県のこれらの回答に対して再度質問をしてゆくつもりです。

 名古屋市ですが、『昭和62年の調査結果の保存はある』ということです。資料の別紙1・2・3ですが、昭和30年から51年までに新築・増築・改築された建物なので、年代が限定されすぎていて問題ではないか。調査結果について、『258施設については行い、劣化の程度をABCDEの5段階に分けたが、劣化度がDやEでも濃度は問題になるほどではないがアスベストの危険性はあるので回収するつもりだ。』との回答でしたが、これはもともと昭和62年12月28日の実態調査についての発表を繰り返したものです。

 この回答に対し、もう一度名古屋市に質問状を送りました。『アスベストを使用した施設について調べたことは理解したが、その後の改築や改修はどうしたのか(1)、また、今後改築や解体の予定があればリストアップしてください。(2)』また、資料の朝日新聞・中日新聞にもあるように、調査から14〜15年経た後に道徳小学校に吹き付けアスベストがあることがわかり、しかも、しばらくは放置してありましたので、その再調査を要求しました。(3)アスベスト建材についても、対策を要求しました。(4)この4点について質問をしました。現在、回答待ちです。道徳小学校の話をしましたが、今日は名古屋から学校の先生がおいでです。2〜3年前から学校のアスベスト問題に取り組んでいるM氏にも、後ほどお話を伺いたいと思います。以上です。

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