2004年度 活動報告

 2004年度は、当センター設立1〜2年目でありながら、2004年11月の国際会議の開催と、それに伴うプレイベントやプレシンポジウムや書籍の出版と、きわめて多忙な1年であると共に、報道を含め石綿(アスベスト)に多くの関心が寄せられた年となりました。私たちは国際会議関連の準備を行う一方で、生命の限りの中生きられる悪性中皮腫の方の相談活動を原点に、この1年間を過ごしてきました。国際会議の成功、相談活動の増加、患者と家族の会の会員増加、と大きな成果のあがった年となり喜びも大きい一方、忙しさの余り関係者一同に疲れがたまった年でもありました。

1.全国からの電話相談と対応について

 電話での相談体制を毎日継続してきました。2004年4月から2005年3月までの電話相談は、ホットラインを除き334件で、医療相談・労災相談が171件、環境相談が163件でした。2004年11月に中皮腫アスベストホットラインを実施し、90件の相談が寄せられました。

 必要に応じ全国へ相談員を派遣し、個別相談と地域の支援体制作りを援助してきました。関西地区の相談の増加は著しく、広く西日本に及ぶ労災相談や医療相談が寄せられました。東海地区や神奈川県、四国、九州、北海道等の相談が増加、東北からの相談が始まりました。

 職種としては、船員、JR、自動車等の事例の増加が目立っています。環境曝露と思われる事例の相談も増加傾向にあり、一例ずつの調査を実施してきました。

2.中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の事務局活動

 2004年2月に設立された、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の事務局として、活動を担いました。6月には患者と家族の現状のアンケート調査を実施し、厚生労働省交渉にいかしました。8月には、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会として初めての厚生労働省交渉を実施し、交渉の成果として2005年4月より中皮腫の治験が早期に開始されています。国際会議にはブースで参加、シンポジウムの発表と交流に事務局として活躍しました。関東支部の活動、関西支部の活動等に日常的に協力しています。会員数の増加に応じた、訪問や交流が十分行えていない部分もあり、事務局の強化が必要となっています。

3.環境アスベストへの対応

 全国からの相談と現地での対応を行ってきましたが、特に練馬区ではアスベスト対策大綱として結実し、江東・豊島区・横須賀市等の自治体の石綿対策の促進、さいたま市でのアスベスト条例の請願への協力、渋谷区公会堂での質問状提出、某マンションでの石綿濃度測定を実施し、成果をあげてきました。中央労基署とは違法工事の際の監督を確認した交渉、さいたま市では小学生等にマリ・クリステイーヌ氏と環境教育を行ってきました。環境中の石綿濃度等について、早稲田大学の村山先生と協力した勉強会を数回開催してきました。

4.国際会議の開催と成功

 2004年11月東京で開催されたアスベスト国際会議に、ブース出展、資金、運営面で全面的に協力しました。国際的にも大成功を納めたばかりでなく、国内的に異分野の交流が図れた事は大きな成果であったと思います。 詳しくは国際会議報告書をご参考ください。

5.調査・研究活動 連続セミナーの開催・書籍の出版

 2005年2月日本家屋の新規石綿建材使用の際のアスベスト曝露等の測定を、全建総連東京都連に協力し実施しました。国際会議のプレイベントとして、国際会議組織委員会と共催し、4回のシンポジウムを実質的に担いました。第1回「公共建築物の吹き付けアスベスト」、第2回「石綿(アスベスト)含有建築材料」、第3回「地震とアスベスト」、第4回「廃棄物とアスベスト」を開催しまし、その成果をHPや国際会議で発表しました。

 国際会議にあわせて出版が急遽決定された「ノンアスベスト社会の到来へ」は当センターが編者となり、環境監視研究所中地氏と協力し執筆と販売に全面的に協力しました。担当の1000部については順調に販売されています。

6.ホームページでの情報提供

 2004年9月に、アスベストQ&A、眼で見る石綿製品、2003年−2004年ホットライン、相談者紹介、等々を解説したホームページを完成させました。HPのアクセスは、以前月数百件でしたが9月以後月1000件となり国際会議で更に増加、特に1月の報道ステーションの報道後1時間で1000件のアクセスがありました。1月にはYAHOOのお薦めサイトに登録され、以後月数千件のアクセスとなり、広く情報提供のできるHPとなりました。

7.東京近郊での相談活動の強化

 相談活動を日常的に実施し、関東での相談例が増加してきました。

8.法律プロジェクト

 国際会議前に法律関係者の交流の場を開催し発足しました。法律的な相談の希望者が増加する傾向が見られた年度でした。

9.中越地震

 10月の中越地震の後、11月、12月と3回の現地視察と濃度測定と新潟県や当該自治体への要請を行い、アスベスト対策の重要性をアピールしてきました。生活再建支援法の改正のため議員への働きかけも実施しました。

10.中皮腫・被災者の写真撮影について

 関西を中心に中皮腫等の被災者の写真撮影を行いました。

11. 事務局体制

 ボランテイアの名取代表と永倉事務局長、専従職員の植草事務局員の体制を中心に活動してきました。2005年から、事務局内で専従職員への業務の分担を試行しています。調査研究、テープ、エクセル処理等で短期間非常勤職員を雇用・委託しました。センターの活動の拡大に伴い、11月に正式なリーフレットを作成し、国際会議以降配布しています。

12.他団体との協力

 2004年世界アスベスト東京会議組織委員会、石綿対策全国連絡会議、全国労働安全衛生センター連絡会議、(NPO法人)東京労働安全衛生センター、(社)神奈川労災職業病センター、(NPO法人)じん肺アスベスト被災者救済基金、名古屋労災職業病研究会、関西労働者安全センター、愛媛労働安全衛生センター、広島労働安全衛生センター、(医)ひらの亀戸ひまわり診療所、じん肺患者同盟(北茨城・高萩・東京東部・横須賀・建設東京支部)、建築じん肺被災者の会東京、横須賀地区じん肺被災者の会、全建総連東京都連、労働者住民医療機関連絡会議等の諸団体と協力して活動してきました。