あなたの肺がん、原因はタバコだけでしょうか

Another Cause of Lung Cancer.

肺がんの原因はタバコだけではありません。

あなたの職場やお住まいの周辺、あなたのこれまでの仕事の中でアスベストに触れることはありませんでしたか?

肺がんは、レントゲンやCTなどで医学的にアスベストが原因であると判断された場合、労災などの補償を受けられる場合があります。

専門医による医学的な診断を受けてみませんか?

肺がん タバコ以外の原因【アスベスト】

 原発性肺がん(胃がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん等、他の部位から肺に転移した転移性の肺がんでなく、肺由来の肺がんという意味)は色々な原因で起こります。喫煙(タバコ)は肺がんの大きな原因であることは非常に有名ですが、タバコを吸わない人にも肺がんが発症することはあり、タバコ以外にも肺がんの原因は多数言われています。

 その原因の一つ、「アスベスト(石綿 せきめん いしわた)」は、国際がん研究機関(IARC)において、発がん性物質分類でグループ1(発がん性がある)と位置付けられる「発がん物質」です。

 最初のアスベスト(石綿)吸入からおおむね40年前後の潜伏期を経て、アスベスト(石綿)肺、肺がん、中皮腫、といった健康障害が起きることが、だいぶ以前からわかっています。

タバコとアスベストで発がんリスク50倍

 原発性肺がんと診断された多くの方は、自分の肺がんは喫煙(タバコ)が原因だろうと医師から言われ、また自分でもタバコが原因と思っていることがあります。

 有名な疫学調査で、喫煙しない人の肺がんのリンク(危険性)を1とすると、喫煙者は10倍の肺がんリスクがあり、喫煙はしないがアスベスト(石綿)を吸入した人は5倍、喫煙者がアスベスト(石綿)を吸入した場合は、約50倍の肺がんリスクになるという報告があります。

 あなたが、あなたのご家族が、原発性肺がんと診断されたとき、病院の医師から、喫煙歴を問診されたと思いますが、アスベスト(石綿)に関することは尋ねられたでしょうか。

 また、ご自身やご家族で、過去の石綿(アスベスト)との接点を考えられたでしょうか。

  • あなたの過去のお仕事は?
  • あなたのご家族のお仕事は?
  • あなたのお住いの近くに石綿(アスベスト)工場はなかった?
  • あなたのお住いになった家、通った学校や職場、あなたの身近なところに石綿(アスベスト)吹き付けはなかった?(部屋の天井がボードで覆われていることが多いオフィスで、実は裏の天井は吹付け石綿で、知らない間に石綿を吸っている方が多いので要注意です。)

 アスベストに関する報道の効果もあり、医療機関において、原発性肺がんの方にアスベスト(石綿)との接点を尋ねてくださる医師が増えてきてはいるものの、喫煙歴のある方の場合は、本人も「タバコが原因」と思ってしまい、アスベスト(石綿)が原因とは思わないことも多いのが現状です。

 今、多くの「アスベスト(石綿)肺がん」の患者さんたちが、見逃されています。

アスベスト専門医による再読影をお手伝いします

 肺がんは、喫煙(タバコ)その他が原因であるという一般的な認識から、アスベスト(石綿)との関連に気付かれないケースが大変多い病気ですが、アスベスト(石綿)との関連性が医学的に認められると、公的な補償を受けて、治療や療養が出来る場合があります。

 アスベスト(石綿)による肺がんかどうかを医学的に判断する最も簡単な方法は、≪胸部CT検査の画像診断≫です。

 もし、あなたが「私の肺がんはアスベストが原因?」と疑問に思ったとしたら、まずは主治医にアスベストと関連があるかを尋ねてみましょう。ただ、肺がんの診断と治療の専門家の医師が、アスベストとの関連の専門家の医師とは限りません。大変残念ですが、がんセンターの医師の全てがアスベスト診断の専門家ではないのです。

 もしも、あなたが主治医の答えを聞いても納得できずに不安なときは、主治医以外の医師、できれば的確な診断のできるアスベスト(石綿)関連疾患に詳しい医師に、あなたの胸部CT写真を見ていただくこと(再読影)をおすすめします。

 中皮腫・じん肺・アスベストセンターでは、アスベスト(石綿)専門医による再読影のお手伝いをしております。

 詳しくはこちらをご覧ください。

参考

アスベストによる肺がんであると労災保険で医学的に診断されるポイントは?
※各都道府県労働局には局医(呼吸器科)の医師がいます。石綿肺がんの判断は、最終的に各都道府県局医と厚生労働省への綸旨(中央の医師に伺う)判断で、石綿による肺がんと決めています。労災の判断をされるのは、主治医の意見でなく、各都道府県労働局の局医(呼吸器科)と労働基準監督署長です。
ポイント1

 「石綿(アスベスト)肺」というアスベスト粉じんを長期間にわたり吸入することによっておこる肺内の変化が認められること。

ポイント2

 「胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)」という、症状が一切ない、大変小さな変化が胸部レントゲンや胸部CTで認められること。

 胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)は、アスベスト(石綿)によりほぼ特異的に出来る胸膜直下の繊維性病変です。場所と特徴的な形状から、アスベスト(石綿)ばく露(吸入)者に特異性が高い変化のため、この病変があれば以前アスベスト(石綿)ばく露があったと推定できるものです。

 アスベスト専門の医師は、「胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)」を見つけるのが大変上手ですが、肺がんの診断と治療の専門家の医師がいつもそうではないのが実情です。

 主治医が「胸部CTで胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)はない」と診断された方が、他の医師が「胸部CTで胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)はある」と診断し、各都道府県局医が「胸部CTで胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)はある」と診断し労災となった方を、多数経験してきました。

ポイント3

 「石綿繊維・小体」が肺内から検出された場合。石綿繊維は、文字通りアスベスト(石綿)の繊維のことです。石綿小体は、アスベスト(石綿)繊維を芯にして、タンパク質と鉄が結合して肺内で形成される物質のことです。アスベスト(石綿)に特異的な物質で、アスベスト(石綿)ばく露の指標とされます。