看護師の手術手袋のタルク作業 中皮腫で労災認定

 石綿(アスベスト)は、複数の性質があるため、耐摩耗、吸湿、吸音、耐火、断熱等の目的に使用されてきました。戦後石綿の使用の80%は建築で1990年代まで多用されてきましたので、病院、手術室の天井や壁にも今も吹付け石綿が残っている建物が多くあります。

 病院・診療所に勤務した看護師で中皮腫になった方が、今回のタルクによる中皮腫以外で、過去に日本で4名以上いると推定されていますが、理由は大きく3点あります。3点とは、石綿製造業の近隣の病院や診療所での勤務者、手術関連でのタルク使用作業、病院自体の吹付け石綿からのばく露、となります。

 1点目は、石綿製造業の近くの病院や診療所の勤務した看護師で、工場大気からの飛散なのか、石綿が付着した作業着で診療に来る従業員が多くで家族ばく露同様に衣服からの石綿飛散と推定されています。

 2点目が、手術用等の手袋内に吸湿・すべり止め目的で添加したタルク中の石綿のばく露です。看護師だけでなく中央材料室等で勤務されていた看護助手の石綿ばく露が懸念されています。

 3点目が、耐火と吸音目的で使用された吹付け石綿です。病院ですとボイラー室や手術室の天井裏やダクト等、目に見えない部分で吹付け石綿使が使用されていることが多いので、石綿含有建材に詳しい人によって、サンプリング・分析してご確認ください。

 石綿関連疾患には、主に中~高濃度・長期ばく露による石綿肺・石綿肺癌と、主に短期間の低濃度ばく露でも発症する、胸膜中皮腫と良性の胸膜プラーク(肥厚斑)があります。石綿関連疾患の潜伏期間は20~50年以上の場合が多いので、昭和30年代~昭和60年代に看護職場で石綿ばく露された方が現在心配な対象の方となります。なお作業形態によりますが、毎日手袋関連の作業を数時間行う方は少なく短時間の中等度ばく露が週何日という場合が多いと思いますので、石綿肺は起きにくく、胸膜中皮腫と良性の胸膜プラーク(肥厚斑)が懸念される疾患かと思います。なお胸膜中皮腫と良性の胸膜プラーク(肥厚斑)は、石綿にばく露された方の数%以下しか一生発症しない疾患ですので、多くの方にとり過度の心配は不要です。

 過去に手術室でタルク作業を行った看護師・看護助手の方の今後の健康管理ですが、石綿ばく露作業開始から20年以上たった40代以降の胸部レントゲン写真による毎年の健康管理が重要となります。ご心配な方は、石綿関連疾患に詳しい医師でないとわからない微細な変化もあるため、石綿関連に詳しい医師を選択して受診、胸部レントゲン写真による健康診断を受けてください。。疑わしい病変(胸膜プラーク等)のある方は胸部CT写真が必要となります。国の制度による石綿健康管理手帳の対象となる場合もありますので、今後ご相談ください。

 関東の方の場合は、ひらの亀戸ひまわり診療所(〒136-0071  東京都江東区亀戸7-10-1 Zビル2階 TEL : 03-5609-1823 FAX : 03-5609-1886)木曜日の呼吸器内科名取雄司医師の外来に、保険証をお持ちの上予約不要でお越しください。

 看護師が中皮腫になった場合ですが、看護師は病院や診療所に雇用されていた方がほとんどで自営の看護師はまずいませんので、職業に由来する中皮腫はほぼ労災保険の対象となりますので、その点も病院や私達に是非ご相談ください。